3.中社編)2020年6月エリックジャパンツアー 戸隠五社巡りの行程
2020年エリックジャパンツアー戸隠の行程
今回は3番目に訪れる戸隠神社 中社をご紹介いたします
前回のブログでご紹介しました火之御子社からゆっくり20分ほど神道(かんみち)を歩くと、中社に辿り着きます
石段を昇りきって、最初に目に飛び込んでくるのが「戸隠の三本杉」
この三本杉には次のような「八百比丘(やおびく)伝説」があります。
昔、若狭の国に、ある漁師がおりました。
この漁師は妻を亡くして、3人の子どもたちと暮らしていました。
ある晴れた日、漁師が1人で漁をしている時、入江の奥で水浴びをしている美しい女性を見つけました。
漁師はしばらくその女性に見とれていましたが、やがて、女性の体にきれいなウロコがあるのに気づきました
「これが昔から言われている人魚なのか。
捕まえて他の者にも見せてやろう」
そして、漁をするために持っていた網で、人魚を捕らえてしまいました。
人魚は一生懸命、命乞いをしましたが、漁師はこれを聞き入れようとせず、ついには人魚を殺してしまったのです。
漁師は人魚の肉を家に持って帰り、家の中にそれを隠しました。
翌日、漁師は漁をするために、再び1人で浜辺に出かけていきました。
留守番をしている3人の子どもたちは、だんだんとお腹が空いてきました。
何か食べるものはないかと探したところ、昨日、父親が隠した人魚の肉を見つけました。
それが何の肉か知らない子どもたちは、空腹に堪え兼ねて、その肉を煮て食べてしまいました。
漁を終えて戻った漁師は、昨日、隠しておいた肉がなくなっていることに気づきました。
子どもたちを問い詰めてみると
「食べてしまった」
と言うではありませんか。
漁師は恐れおののきました。
なぜなら、人魚の肉を食べたものは人魚になってしまうと言い伝えられているからです。
果たしてその言い伝え通り、みるみるうちに、子どもたちの体は鱗に覆われていきました。
漁師は、なすすべもなく、眠れない日々を過ごしました。
そんなある日、疲れ果てて一瞬、微睡んだときに
「漁師よ。
剃髪して出家せよ。
そして、戸隠大権現に詣で、子どもを救うため、忠誠を誓うため、3本の杉を植えよ。
そして、戸隠三社の御庭草を八百日踏んで、その無益殺生の後悔の真情を神に祈れ・・・」
とのお告げがありました。
はっと目覚めてみれば、傍には既に冷たくなった3人の亡骸がそこにありました。
漁師は、早速、お告げの通り剃髪をし、子どもと妻の位牌を身に付け、お告げの通り、海辺より戸隠大権現にはるばる赴きました。
名前も「八百比丘(やおびく)」と改めました。
そして現世の減罪と永代の繁栄を祈りつつ、正三角形に 3本の杉を植え、三社の御庭草を八百日踏んで、八百比丘の名を残しました。
以上
信州戸隠山 戸隠神社HPより引用
https://www.togakushi-jinja.jp/about/history/myth06.php
各地に伝わる八百比丘尼(やおびくに)伝説では、人魚の肉を食べた娘が不老不死になったというお話が語り継がれています。
娘は永遠の若さと美しさを手に入れました。
けれど、死ぬことのできない娘は、永遠にこの地上に縛り付けられることになります。
この世にもあの世にも居場所のない壮絶な孤独。
一方、戸隠 三本杉の八百比丘伝説では、父親が夢のお告げを聞くと同時に、人魚の肉を食べた子どもたちは亡くなっています。
実は人魚の肉を食べた子どもたちは「永遠の命」を得たのではないかと思います。
けれど、それは魂が行き場を失い、さまよい続ける、無限の苦しみです。
戸隠大権現さまは、そうした子どもたちを天に召し上げ、彼らの魂を救済したのではないでしょうか?
そうして、新たな転生の機会を与えたのだと思います。
戸隠にはこうした優しい「許し」のエネルギーが満ち溢れているように感じます。
中社の由来
1087年4月8日
時の別当が
「元来当山は三院であるべき」
との夢を見たことから、奥院と宝光院の中間に建てられたのが始まりです。
実際には冬の寒さの厳しい奥院は、生活の場として過ごしやすい場所ではありませんでしたので、この地に中社を建てる必要があったようです。
中社の祭神は天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)
天照大御神が岩戸にお隠れになった時、岩戸の前で大騒ぎをして天照大御神を導き出そうというアイディアを出した知恵の神様です。
学業成就をはじめ、家内安全、開運守護、諸々の災難を祓う神とされています。
江戸時代までは天八意思兼命=お釈迦様と考えられていました。
『古道を歩く 戸隠神社 五社巡り』信濃毎日新聞社刊より
中社には、清らかで同時に重厚感のある壮麗な空気が流れています。
拝殿右手奥には日吉社(ひえしゃ)があります。
こちらの御祭神は水の神さま「瀧津姫命(たきつひめのみこと)」
宗像の三女伸の1人で、流れの激しい海や川を守護する女神です。
中社社殿の右奥にはさざれ滝が涼やかな音を立てて流れています。
私は下見に訪れた際、運よく『岩戸開き』のお神楽を拝見する機会に恵まれました。
早朝6:30に行われたのですが、日中にも増して凛とした空気が漂い、さながら天界にいるようでした。
聞こえるのは雅楽の音色と滝の音ばかり。
ちなみに戸隠神社の宿坊(参拝客用の宿)のご主人の多くは、神職の資格をもつ方々です。
※画像、お借りしています。
ですので、結婚式などがある時は、神職さま方が集まって雅楽演奏をしてくださるそうです。
雅楽の生演奏
ため息が出る程贅沢ですね
今回の下見の際は、宿坊に泊まらせて頂いたのですが、宿の神職さまは笛の名手。
魂が揺さぶられるような美しい笛の音を聴かせて頂きました。
※画像、お借りしています。
さて、中社を参拝した後は、お楽しみのランチタイム。
戸隠の綺麗な水で打った戸隠蕎麦を頂きます
※画像、お借りしています。
よく歩いた後のお蕎麦はまた格別です
中社付近にはお土産屋さんも並んでいますので、お土産を買いたい方は、早めにランチを切り上げて、お買い物して頂くこともできます
そして、ランチの後は、いよいよ旅のクライマックス
奥社にある
戸隠神社本社
そして九頭竜社へと向かいます
つづく
「2020年6月 エリックジャパンツアー
戸隠五社巡りの行程(1~6)」はこちらからどうぞ
シルフェ 阿部小百合